燃える雑記置き場
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分子マーカーを用いたコナラにおける配偶子選抜の同定

鶴田燃海
生物環境科学専攻 森林分子生態学研究室

摘要
 コナラは、北海道から九州にかけて広く分布する、日本の温帯の二次林における主要な落葉性ナラの一つで、古くから日常生活に利用されてきた。近年このコナラの林分の保全は、生態学的また経済的、さらには文化的に重要視されてきている。林分の更新の成功をもたらす、受粉と受精から、種子の発達、散布、実生の生存、若木の成立までのプロセスを知ることは、これらの森を保全するにあたり必要となる。最近の分子マーカーの発達は、植物の更新における重要な知見をもたらした。マイクロサテライトマーカーを用いた解析は、これまでにコナラ属における花粉の飛散と種子散布の実態を正確に把握しつつある。それらの研究が遺伝子流動に目をつけたのに対し、我々は一連の更新過程における得に繁殖様式に焦点を置く。このマイクロサテライトマーカーを用い、受粉から種子形成までの期間における、競争又は選択について研究を行った。
 これまでの研究において、コナラにおける配偶者選抜は、2つの様式の人工受粉処理と、結実種子の遺伝分析により明らかにされた。2つの親を個別に受粉させた場合及び、5つの親の花粉を混合して受粉させた場合のどちらにおいても、自家受粉による結実種子は得られず、コナラが強い自家不和合性を持つことが確認された。我々はさらに、この種が持つ、交雑し易さの偏りを発見した。個別に受粉させた5つの家系のうち、他家受粉させたものにおいては、結実率に差が見られなかったにも関わらず、混合花粉による結実種子の花粉親には明らかな偏りがあった。マイクロサテライトによって決定された花粉親の割合は、多いもので50%(P87)だったのに対し、ある親(P20)は生産された種子の1%しか貢献していなかった。この花粉親ごとに差が生じた貢献度は、母樹からの距離に正の相関が見られた。また、マイクロサテライトから概算された花粉親の母樹との遺伝的類似度は、この偏りにある程度の関連性を示した。
 今後の研究では、より詳細な配偶者選抜を同定するため、受精した胚における遺伝子解析を行う。コナラを含むナラ属は、一つの雌花の子房内に6つの胚珠を持ち、受精後にそれらのうちの一つだけがドングリへと成長を遂げる。我々が目指す遺伝子マーカーを用いた受精した胚における父性の決定は、受粉してから受精までの期間に起こる配偶子間競争(いわゆる花粉管競争)と、受精後に起こる接合子間競争(受精した胚珠間競争)を区別して同定することができる。この研究が、植物の巧みな相手選びの手法の一部を解き明かすこととなるのを期待する。

Key ward: コナラ; 人工交雑; 配偶者選抜; マイクロサテライトマーカー; 父性解析; 遺伝的近縁度.
Identification gametes selective system in Quercus serrata using molecular markers

Momi Tsuruta
Laboratory of Forest Molecular Ecology, Science of Biological Environment

Abstract
 Quercus serrata Thumb. et Marry is one of most common deciduous oak in temperate secondly forests of Japan, widely distributed from Kyushu to Hokkaido, and it had been used for daily life since a long time. Recently, conservation of the stands including Quercus serrata became more important on ecological, economical and cultural point. The knowledge of series process provided reproductive success from flowering to sapling establishment, such as pollination, fertilization, acorn development, seed dispersal and seedling survival, is necessary to preserve this forests. Recent development of molecular markers has brought great consequence on plant regeneration. Now, microsatellite (SSR) marker analysis has been clearly described the dynamics of pollen movement and seed dispersal in Quercus. While these studies had focused on the gene flow in natural stands, we put the attention on the reproductive system in series of regeneration process. With powerful SSR, we investigate competition and/or selection during pollination to seed maturation.
 In our present study, the gamete selection in Q. serrata was identified by the two patterns artificial pollination and molecular analysis on developed seed. Either two pollination system, mating couple with one pollen donor or mating with mixing pollen from four or five donors, no mature seed by the self-pollination was observed, and it was confirmed that Q. serrata had strong self-incompatibility. Moreover, we found partial compatibility among paternal trees of this study. While, the seed set percentage in outcrossed families which pollinated one donor independently to the seed tree had no significant difference, there were apparent differences in determined paternal tree rates of developed seed from pollination with the mixture pollen. One parent (P20) was contributing only to 1% while highly one (P87) was 50% of the pollen parents of the produced seed who had been decided by SSR markers. The difference by this pollen parents had the correlation in the distance from the seeded tree (r=?). Moreover, the genetic relatedness estimated from SSR was associated to this bias to some degree.
 For the future study, we will proceed to genetic characterize on the fertilized embryo in developing seed to identify more detail of mating selection. Quercus species have 6 ovules per one female flower ovary. After fertilization, only one ovule of these develops to acorn. Our aim to determine paternal parent in fertilized embryo with genetic markers can distinguish the competition among gametes occurred from pollination to fertilization, so called pollen competition, and the competition among 6 zygotes occurred after fertilization. We hope this study present the part of skillful selective systems in plants.

Key ward: Quercus serrata; Controlled pollination; Gametes selection; SSR marker; Paternity analysis; Genetic relatedness.
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コメント
この記事へのコメント
難しい研究をされているのですね。
私は杉花粉症です。
コナラの燃海さんのように杉もどなたかが研究されておられるのでしょうね。
早急に杉花粉症が治るような研究を望む者です。
コナラは花粉があまり飛散しないから昆虫が媒介すると説明にありました。
杉もそうだとよかったのに…
グチのコメントでした。
2005/07/24
(日) 15:25:22 | URL | チョコ #HuBhO90w[ 編集]
スギの方が。
花粉症は今では国民病ですから。
各県の林業試験場や、国や大学などの研究機関で多くの研究がなされています。
最近では、花粉の少ない品種、花粉を作らない品種が選抜されています。
あとは、現存の造林地をどのようにして、それらの品種に置き換えるかといったことが問題となっています。木を切る人がいないんですよ。農業以上に廃れた、林業の持つ、最大の課題ですね。
2005/07/24
(日) 15:48:12 | URL | 燃海 #LfSnBEJ6[ 編集]
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